NHKのクローズアップ現代にて加計学園問題をめぐる、文科省の新たな内部文書が明らかにされました。
その翌日松野文科大臣が会見を行い、文部科学省内で、指摘された文書が発見されたことを発表しました。
この文書をめぐることについて見ていきたいと思います。
文書の内容
まずこの文書は今までの加計学園をめぐる政府の対応から考えれば、異例とも言える翌日に文書が発見されたという会見がなされました。
政府は迅速に対応しているという姿勢を国民に見せたいのかなとも思います。
一定の評価ができるポイントであると思います。
この文書はどういうものかというと、「萩生田官房副長官ご発言概要」というタイトルの文書で、
- 「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」
- 「農水省は了解しているのに文科省だけが怖じ気づいている」
- 「何が問題なのか、書き出してほしい。そのうえで、渡辺加計学園事務局長を浅野課長のところに行かせる」
などの内容が書かれている文書でした。
一見すると萩生田官房副長官という官邸の人間が、文部科学省に総理の指示を伝えたこと、そして文部科学省に圧力をかけているようなこと、といった印象を抱かせる文書でした。
総理の具体的発言が出てきている、今までより強烈な文書であったことはまちがいないでしょう。
文科省の謝罪
違和感
しかし、私はこの文書をはじめ見たとき違和感を感じました。
それは文書に「官邸は絶対やる」という文言が出てくることです。
萩生田官房副長官は官邸の人間です。
つまり官邸の人間である萩生田官房副長官が「官邸は絶対やる」と言うことは、通常言わないであろうおかしな言い方であって、強い違和感を感じました。
文科大臣の会見後、萩生田官房副長官は、指示を出したことも、総理から指示をされたこともない、こういった文書が出てくることに憤りを感じると真っ向から否定するコメントを出しました。
加計開学めぐり文科省に新文書 萩生田氏、発言を否定 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
そして、会見後数時間経ってから、松野文科大臣が萩生田副長官に「文書は正確性を欠くもので、副官房長官の発言でないものもあった」として電話で謝罪しました。
さらには、義家文科副大臣が官邸に直接出向き、「萩生田副長官の名前を出して調整にあたる傾向があった。迷惑をかけたことをおわびした」と今回の文書が同席していない職員によるメモであって、萩生田副官房長官の発言とされることに関して、事実でない部分があることを副官房長官に謝罪しました。
文書の制定課程
一体全体どういうことなのか、この文書の性質や流れに沿って見ていきたいと思います。
- まず、萩生田副官房長官と文部科学省の局長が会談しました。
- そして、その内容を局長が話して、課長補佐がそれをメモにしました。その際、課長補佐は、自らの持っている情報もそのメモに入れたと言われています。
- 課長補佐は、その会談に完全に立ち会っていたわけではないわけではないようです。
- その後、課長補佐がそのメモを共有フォルダに入れました。
こういう流れになっています。
つまり、このメモは官房副長官の発言をまとめたものではなく、官房副長官の発言を受けた局長の発言をまとめたものということです。
萩生田官房副長官の発言それだけではなく、局長の受けた見解が混じっているために、「官邸は〜」といった内容が含まれていたのです。
それにもかかわらず、萩生田官房副長官ご発言概要というタイトルがついているために、まるでその中の事が全て萩生田官房副長官の発言のように報道されたことが混乱の元であるというふうに思います。
今文科省がすべきこと
ということで、このメモは様々な情報が入っていて、なんのこっちゃわからないといった文書になっているわけです。
報道や、文科省の発表から考えるとこの文書に入っている情報は3種類あると思います。
- 萩生田官房副長官の発言
- それを受けた局長の感想を踏まえた主観的見解
- まとめた課長補佐が持っていた個人的情報
この3種類だと思います。
今文部科学省がすべきなのは、この文書の内容のそれぞれが、上のどれに当たる文章なのかを調査することではないでしょうか。
その上で、萩生田官房副長官の発言とされる部分があるのであれば、それに関して萩生田官房副長官の見解を聞けばいい話なのです。
このまま、この文書をいろんなものをごっちゃにして、まとめて官房副長官の発言として扱うことは、国民にいらぬ疑念を抱かせてしまいかねません。
今回の文科省の迅速な対応は評価しますが、迅速であるがあまり、文書の性質や正確性を検証せずに会見を行ってしまった結果、同日に大臣が謝罪するという異例の事態となったことは、恥ずべきことであると言わざるをえません。
終わりに
今回の文書は、あくまで備忘録のようなもので、その内容の正確性が非常に疑わしいものでした。
しかしながら、政府や文部科学省としては、国民に疑念を持たれないよう真摯に対応していく必要があるでしょう。
そのためにも、文部科学省は文書の内容を精査して、3種類のどれに当たるものなのかをそれぞれ区分して、真偽を検証していくことが必要であると思います。
そして義家文科副大臣が言っていたような、省内での調整を円滑に行うために、萩生田官房長官そしてそのバックにある官邸が言っているから、ということで行政を行っていたのだとすれば、おおきな問題でしょう。
こういった文書がポロポロでてくることもそうですが、文部科学省の体質に関しても、メスを入れる必要があるように思います。
野党が臨時国会を求めるようですから、その求めに政府がどう応じるのか。
都議選に与える影響は。
今後の展開に注目です。
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