衆議院が解散され激動の政界。
1日経てば、昨日の話が過去の話となっている現在、あまりにも早い政治の流れに、わけわからんという方もきっとおられるのではないでしょうか。
そこで今回は、やっと落ち着きを見せてきた政界再編の動きを、9月20日以降くらいから振り返り、一体何が起こっていたのかを、わかりやすくお伝えできればと思います。
- 衆議院の解散風
- 前原・小池
- 希望の党
- 両院議員総会で事実上の合流が了承
- 排除
- 三都物語
- 立憲民主党
- 希望の党公認発表・政策協定書
- 民進党解党、希望の党への合流までの流れのまとめ
- 前原誠司代表の「想定内」発言
- 三つ巴の選挙戦で対立軸が明確に
- 最後に
衆議院の解散風
今回の政界再編の動きをここまで加速化させたのは、衆院解散の風が吹き始め、それが現実となったからでした。
衆院解散の風が吹き始めたのは、9月15日以降くらいからでした。
そこらへんから、竹下総務会長が会合で、選挙が近いと述べたことを17日に朝日新聞が報じ、その翌日に各紙の一面は、「総理解散を決断」といった見出しで埋まりました。
これを受けて、総理は、国連演説に向かう飛行機に搭乗する前に、「解散については帰国してから考える」と述べ、普段であれば、解散については一切口にしない総理が、考えるということを口にした時点で、事実上解散が確定のものとして、永田町が動き始めたと言えるでしょう。
前原・小池
そして、解散風が吹き始めた9月17日くらいから、前原氏から小池氏に連絡を取り始め、民進党の合流について考え始めたと報道されています。
解散が現実のものとなり、しかしながら、民進党は山尾不倫や離党ドミノで瀕死寸前で、衆院選を戦ったとしても、ジリ貧に陥ることは目に見えていました。
ですから、前原代表が何らかの行動に出ようとしたこと自体は当然とも言えます。
希望の党
そんな中27日に、細野・若狭両氏で結党に向けて動いているとみられていた、小池新党について、唐突に小池都知事が、それまでの過程をリセットして、私が旗印として先頭に立って引っ張っていくとして、「希望の党」の結成を宣言しました。
結党会見の内容についてはこちらの記事について詳しく触れています。
両院議員総会で事実上の合流が了承
そして、衆議院の解散日である28日を迎え、民進党は午後から両院議員総会を開会します。
その中で、衝撃的とも言える、民進党の立候補者を今回の衆議院選挙では擁立せず、立候補希望者は希望の党に公認申請を出して、民進党としては、希望の党を全力で応援する旨の提案が、前原代表からなされました。
民進党の衆議院議員がいなくなるということですから、事実上の合流です。
希望の党は、民進党の合流が噂として流れ始めてからも、平和安全法制への賛成と憲法改正へ賛同が参加の条件としていましたから、民進党を丸ごと受け入れるのは難しいとの観測が出ていました。
しかし、前原代表は、民進党の理念を名を捨てて実を取るという形で、希望の党で実現して行く旨の発言をされ、全員の受け入れといった趣旨の説明をされたこともあり、全会一致で、前原提案は受け入れられました。
排除
しかし、前原代表の提案が受け入れられ、全員の受け入れを、民進党左派も含めて信じていたにもかかわらず、小池都知事は翌日以降も、安保法制と憲法に関する考えの一致は必要不可欠であるとの旨を「排除する」という強い表現を使いながら、訴え続けました。
このことから、受け入れられないのではないかとみられる民進党左派の議員達から不安の声が聞こえ始め、前原代表のいっていたことと違うという声が聞こえ始めました。
政党に所属していなければ、政見放送もできない、比例復活もないなど様々な障壁があります。
まさに政治家にとって、生き死にを占う重要なファクターです。
三都物語
さらに、小池都知事、大村愛知県知事、松井大阪知事の三代主要都市の首長による「三都物語」会談が行われ、改革に向けて協力していく旨の決定がなされました。
この決定の中で、希望の党は東京に、維新は大阪にという住み分けを行うことが決定され、維新と希望が連携していくことが確認されました。
このことは、維新と希望の連携が確認されるのと同時に、大阪の民進党からの立候補予定者は、希望の党が大阪に擁立しないことが決定した時点で、自分たちが希望の党から排除されることが事実上明らかになってしまいました。
立憲民主党
その後も、小池百合子代表は、排除・選別という趣旨の発言を繰り返し、安保法制反対・護憲を訴える、民進党左派の方々にとっては、前原代表の発言は嘘であり、希望の党には受け入れられないことが判明してきました。
さらに、民進党大阪の候補者にとっても、自らの行き場がないということが鮮明となりました。
そのような中、希望の党に受け入れてもらうことができない、民進党所属の議員の受け皿として、10月2日に、民進党リベラル派の主力の枝野幸男氏が「立憲民主党」を結党し、民進党時代の安保法制反対を訴える、リベラル派のための政党が結成されました。
立憲民主党には、左派からの期待が寄せられており、社民党や共産党は協力の姿勢を示しており、共産党は枝野代表の選挙区からの共産党候補の擁立取り下げなど、共闘する方向性が示されています。
希望の党公認発表・政策協定書
そして、その翌日小池代表の示す「踏み絵」を踏んだ、一次公認が発表されました
そのための、政策協定書がこちら。
安保法制に賛成する旨の条件や党への資金提供などが盛り込まれています。
資金提供の金額が提示されていない、まだ発表されていない公約の遵守が盛り込まれているなど、様々な問題点が指摘されています。
一次公認で発表されたのは、192名で内110名が民進党のメンバーということになりました。
【衆院選】希望の党・第1次公認リスト(192人)(1/4ページ) - 産経ニュース
民進党解党、希望の党への合流までの流れのまとめ
以上が、民進党結党から、希望の党への合流、そしてその最中にできた立憲民主党の結党の流れとなります。
まとめると
解散風
↓
小池都知事が希望の党結党
↓
解散
↓
前原案が全会一致での賛同。民進党の事実上の解党
↓
排除発言からの、民進党左派の動揺
↓
立憲民主党結党
↓
希望の党一次公認発表
といった流れとなりました。
前原誠司代表の「想定内」発言
今回の民進党合流の前原提案が実現せずに、排除されてしまったことから、前原代表は小池都知事に騙されていたのだろうという観測が広がっていました。
しかしながら、前原代表は今回の立憲民主党結党の動きも含めて「想定内」であるという旨の発言をされ、衝撃を生みました。
元来、前原代表は保守系議員として知られ、共産党との共闘を解消したくとも、党内左派の反対でできなかったり、自分の政策の実現が民進党の左右対立によって起こっていることに不満を抱いていました。
このことから、「想定内」発言が出たことから、前原・小池によるリベラル勢力の壊滅を狙った動きではないかという観測が生まれ、排除された側の党内左派の逢坂前議員は真実ならば断罪に値すると怒りをあらわにするなど、衝撃が広がっています。
前原代表の真意を測ることはできませんが、「想定内」が本当であれば、とんでもない策士です。
三つ巴の選挙戦で対立軸が明確に
このことにより、野党第一党が事実上消滅するという、衝撃的事件が起こりましたが、安全保障観や憲法観が一致する勢力でまとまるという結果になりました。
これまで、左右が入り乱れ混迷を深めており、非常に方向性がわかりにくくなっていた民進党が消滅したことは、政策・理念での一致という政党の当然とも言える原点を取り戻したとも言えるかもしれません。
これらの野党再編劇によって、
- 自公政権
- 希望・維新
- 立憲民主・共産
という三つ巴の勢力に事実上別れました。
これまで、安法法制に反対だけど共産党は嫌だから民進党に投票していた人、もしくは憲法改正してほしいけど自民党は嫌だから民進党に投票していた人などにとっては、明確に自分が投票したい場所が示される結果となったのではないでしょうか。
これらの三つ巴の勢力の具体的な政策の違いなどについては、長くなりますので別の記事で触れたいと思います。
前原氏の捨て身の挑戦が結実したとも言えるかもしれません。
最後に
ということで、激動の政界について、できる限り必要な部分を集めわかりやすくまとめてみました。
激動して流れを終えないという方の助けになれば幸いです。
また、これでもよくわからんという部分がある方は、コメント欄やブコメやツイッターなどでお気軽にご質問ください。