どうもこんにちは。
今日はいよいよ総理出席の集中審議です。
9時から10時まで自民党の小野寺五典先生の質問時間でした。
この質問が非常に素晴らしかったので、出てきた点に関して、関係者の発言の概要をまとめておきたいと思います。
そして、前川氏の発言の中で、かなり明確に加計学園の選定に関して、「加計ありき」「行政が歪められた」という前川氏の主張は本当なのか?ということを思わせる発言が明らかになったので、全体を通して、取り上げておきたいと思います。
前川氏の発言についてご覧になりたい方は、目次より
『和泉総理補佐官「加計学園といったことはない。」』
からご覧ください。
総理「指示したことはない」
小野寺先生の質問に対して、安倍総理大臣は
「友人が関わることで、疑念を持たれるのは当然だ。今までの答弁ではその観点が欠けていた。李下に冠を整さず。常に国民目線で丁寧に説明したい。」
と非常に丁寧に説明されました。
今まで安倍総理の答弁は野党をなじる傲慢だという批判もありましたので、非常に丁寧な答弁を心がけているといった感じでした。
そして
「彼(加計氏)が私に対して、地位や立場を利用して、何かを成し遂げようとしたことは一度もない。」
と述べました。
加戸前愛媛県知事
加戸氏は獣医学部設置希望の経緯について問われてお答えになりました。
今治で学園都市構想は古くからあり、それに失敗して予定していた土地が空き地になっていた。
その折に、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの問題があり、空白地である四国に獣医学部を新設したいと思った。
そこで数々の学校に当たるも、四国の辺鄙な地に作るのはごめんだと断られ、結果として加計学園のみが新設に協力してくれるということになった。
「黒い猫でも白い猫でも獣医学部を作ってくれる猫が良い猫」である。
として、加計学園に決定した経緯について、数々の学校に当たったが、加計学園以外になかったということを明らかにされました。
八田WG座長
そして、諮問会議、ワーキンググループで実際に規制緩和に携わった八田委員にも質問が飛びました。
八田委員は「総理から特定の事業者を優遇するように指示をされたことは一度もない。一点の曇りもないプロセスである。
そもそもこの議論は「新潟」から始まっているわけで、「加計ありき」ではないことはそのことからも明らかである。
議事録は公開されている。ここまで公開されている行政プロセスも珍しいくらいだ。」
ということを明らかにされました。
関係大臣・関係役人
そこで小野寺議員は、文科省の文書等で登場する人物について、総理の指示を受けたか、加計学園の獣医学部新設について働きかけたかについてただしました。
萩生田官房副長官は
「発言概要に出ていることは、著しく正確性を欠く。
総理からの指示を受けて、文科省に働きかけたことはない。
その時言われたとには、農水省に需給見通しについて聞いてくれということで、それについては農水省に伝えた。能動的に動いたのはこれのみ。
第一文科省から、獣医学部を新設したくないということは伝えられたことがなく、説得する必要性もなかった。」
と、文科省に働きかけたことはないことを明らかにされました。
さらに文書に登場して「官邸の最高レベル」などと発言したとされる藤原内閣審議官は
「獣医学部の新設について総理からの一切の指示を受けたことはない。そういったことも発言していない。文科省側の捉え方の問題ではないか。」
そして、山本、松野両大臣も
「指示を受けたことはない」
ということを明らかにされました。
和泉総理補佐官「加計学園といったことはない。」
そして何より注目されたのが、今回初登場の和泉総理補佐官の発言でした。
前川氏が9月9日の会談で「総理の口からは言えないから、、、」と言われたことを紹介したことに関して、和泉総理補佐官は
「規制緩和をスピード感を持って行うように伝えたことは事実。加計学園という名前を出したことはない。「総理の口からは言えないから、、、」ということも言ったことはない。」
と発言されました。
崩れる「行政が歪められた」
そして、ここからが今回の非常に驚いた、新しい発見となった部分です。
前川氏はこれを受けて
「確かに加計学園という言葉は出なかったが、私は加計学園だと感じた」
と発言されました。
前川氏の憶測だということです。
これを受けて、なぜ加計学園だと感じたのかという質問に対して、
「その当時加計学園以外に獣医学部新設を望むところはなかったからだ。これは文科省の共通の認識であった。」
ということを明らかにされました。
しかし、9月9日時点で京産大は新設の意向を示しているわけです。
なぜ加計学園以外に存在しないということになるのかという疑問が浮かび上がります。
これに関して前川氏は
「京産大からは具体的な計画は出ていなかったと承知している。」
ということを明らかにされました。
つまり、文科省の認識としても、京産大の計画は熟度にかけるもので、具体的に獣医学部新設をしようとしているのは加計学園だけだったということです。
前川氏は以前から京産大が除外された「加計ありき」と主張してきたわけですが、そもそも京産大は具体的な計画がなく、対象となりえないという矛盾する発言が出てきたわけです。
このことからもわかる通り、前川氏・文科省では「加計ありき」ではなく「加計しかない」という認識だったことも明らかになったわけです。
そしてそれを部下に伝えたのかということも問われて
「和泉総理補佐官から言われたことは、担当課のものには伝えた」
「大臣や、局長には伝えていない。」
とおっしゃいました。
大臣や局長にわざわざ伝えていないことからも、前川氏が当時このことを重要な問題であるとは意識していなかったことが伺えます。
このことから、文部科学大臣にも部下にも前川前事務次官から強く働きかけているわけではなく、実際に行政を曲げるように影響が及んだのだろうかという疑問が浮かび上がります。
ということは、和泉補佐官は特区を早めろと言っただけであって、加計学園と思ったのは、前川氏の心の中だけであって、行政プロセスに何か影響が出たということはないのではないでしょうか。
終わりに
ということで、とりあえず小野寺議員の質問について取り上げてきました。
この中で新たに明らかになったのは
- 前川氏、文科省内で9月の時点で京産大は具体的な計画があるとは認識されておらず、その時点で、獣医学部新設の意向があるのは加計学園だけだったというのが、共通の認識であったということ。
- 和泉総理補佐官は前川氏に対して具体名を出したわけではなく、特区を早く進めろと言ったということ。
- そしてそのことを大臣、部下に強く働きかけておらず、前川氏が個人的に心の中で「加計学園」だと思っただけだということ。
- このことから、和泉総理補佐官の発言を受けて、行政のプロセスに対する影響はなく、「行政が歪められた」という論拠が不明であること。
ここら辺が明らかになったのではないでしょうか。
これを見て、加計学園に決まったのが「行政が歪められた」というのが前川氏の主観のみによるもので、実際には影響を発揮していないのだということは明らかではないでしょうか。
この質疑を受けて、反安倍急先鋒の菅野氏も
前川さん、これ、自分で自分だけ殺しにいってしもうてるやん。下手くそすぎるやろこれ。
— 菅野完 (@noiehoie) 2017年7月24日
として、前川氏の答弁で疑惑が晴れてしまっていることを感じているわけです。
総じて小野寺議員の質疑は分かり易かったので、みなさまぜひ通しでご覧になってみることをお勧めいたします。
今後野党の質疑も続いています。
ここまでは、野党の質問は加計氏と安倍総理の関係や、安倍総理の発言の細かいところを突いたりなど、加計学園の本質について論じられてはいません。
今後午後に向けて、建設的な議論が行われるか注目が集まります。
追記
野党の質疑も終わりましたが、これといって新しい事実はなかったように思います。
各人の発言も上に述べたとおりで、結局水掛け論になった部分が多かったように感じます。
しいて言う位ならば、総理が加計学園が事業実施主体であることを知った日付。
そして、松野文科大臣がその存否すら無回答としてきた文書の存在を認めた点ですかね。
明日の審議では今日の審議を踏まえて各党質問を練り込んでくると思いますので、明日の審議も注目が集まりますね。
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