いよいよ来週の頭、10日月曜日に前川前事務次官の参考人招致が行われますね。
そこで、何が焦点となるのか、どこに注目すればいいか、ポイントを改めて見ておきたいと思います。
この問題の争点
世間やメディアで問題にされているから、なんとなく問題なんだろう方もいらっしゃると思いますので、まずは、この問題の争点を改めて確認しておきたいと思います。
この問題の争点は一義的には
総理が不当な圧力を持って、友人の加計学園に便宜を図ったか
ということです。
前川さん流の言い方でいうと「行政が歪められた」かどうかという点です。
そして広い意味でいうと、今は萩生田官房副長官、和泉総理補佐官など、この決定に官邸の圧力があったかどうかというところでしょう。
まぁいずれにせよ、総理、官邸が、特定の人物のため、しかも総理の友人のために特別の便宜を図って、行政手続がまっとうに行われなかったのではというところが真のポイントです。
参考人招致でどうなるか
そして、今回の参考人招致では、前川さんへの尋問によって、この総理、官邸の関与が明らかになるか、また野党からそれを裏付ける新しい材料が出てくるのかというところにポイントがあるでしょう。
そして今回の参考人招致は、長らく招致を求めてきた愛媛県の加戸前知事、そして国家戦略特区ワーキンググループの原英史委員も出席されます。
いわば既得権益側の前川氏と、その既得権益を破ろうとした側の2人がどういったことを語るか、そしてその内容がどう整合性があるのかにも非常に注目が集まります。
前川氏の参考人招致に意味はあるのか
ただ今回の参考人招致、前川前事務次官の参考人招致に意味はあるのかな、と個人的には思っています。
もちろん国民の疑念を晴らすために、与党がセッティングしたということは尊重しますが。
というのも、もし仮に官邸から圧力があったとしても、前川さんは官邸からの圧力を直接受けた人物ではないからです。
ですから、総理、官邸の関与を裏付ける確たる証言が前川氏から出てくるのかと言われれば非常に難しいのではないでしょうか。
前川発言の注目ポイント
そこで、前川氏が言っていることを少し見ておきたいと思います。
「総理のご意向」文書について
そもそもこの問題は、あの「総理のご意向」文書から始まったわけです。
この点に関して、前川氏は「記載の内容はほぼ100パーセント正しい」と言っているわけです。
しかしながら、前川氏が見たのは、前川氏の部下の文科省の役人が、内閣府の役人から言われたとされることを書いた文書のことです。
上述の通り、直接の体験ではなく伝聞の伝聞なわけです。
ということで、この文書に関して前川氏の証言が疑惑を明らかにするという意味では役に立ちません。
萩生田官房副長官ご発言概要について
「萩生田副長官ご発言概要」文書については、在職中に見たことはなく、これを書いたのが当時信頼していた人物だから、その内容はほぼ真実ではないかとおっしゃっています。
まぁ読めばわかる通りこの発言にはなんの証拠能力もありませんね。
前川氏がご自身でおっしゃっていたようにあくまで「憶測」にすぎません。
そして前川氏も言っていたのですが、この文書は主語がバラバラな上、様々な情報が混在している、そして個人メモであるということからも、前川氏の証言でどうこうということは難しいと思います。
萩生田副長官「ご発言概要」文書。いま文科省がすべきこととは - 桜咲き誇れ
和泉首相補佐官の関与
前川氏によると、和泉首相補佐官から「規制改革を早く進めるように言われた」とのことで前川氏は、和泉首相補佐官がキーパーソンであると思うというように語っておられます。
しかしこの発言を和泉さんは否定されておりますし、仮に本当であったとしても規制改革を進めるように言われることに何か問題があるとは思えません。
以前に記事にも書きましたが、この発言でどうこということは、非常に難しいのではないかと思います。
朝日新聞は理性を失っているのか?「総理は言えないから私が」と首相補佐官が…前次官証言内容に問題はあるのか? - 桜咲き誇れ
そして和泉氏がキーパーソンであるというのも前川氏のあくまで「憶測」なわけです。
ということで、これまた前川氏の発言でどうこうなるというのは疑問です。
「行政が歪められた」
最後には行政が歪められたというものですね。
前川氏によると、いわゆる石破4条件に合致するかわからないし、文科省の意見が通らずに性急に進められたと言っているわけです。
ただ石破4条件は、3大臣の合意で満たしていることが確認されているわけです。
そして文科省の意見ということに関しては、最初の期限をすぎて、2回目の期限を過ぎてもなお文科省が規制の必要性を立証できなかったがために、新設ということになったわけです。
規制の必要性が立証できなかったなら、その規制緩和に反対することはできないわけですから、文科省が何も言わせてもらえなかったのではなく、言えなかったということが、議事録等々の資料で明らかになっています。
いずれにせよ、この件に関しても、前川氏が直接その交渉に関わったわけではないですから、その証言の有用性を疑問視せざるをえません。
憶測の領域を出ない
ということで、主な争点となっている分野について、前川氏は直接の関与はないわけです。
ですから、前川氏の語ることは、今問題となっている大半の分野で憶測の領域を出ないわけです。
もちろん事務次官だった人物がどう捉えているかということは重要なのかもしれませんが、そのことに関しては前回の記者会見でも語られたわけですし、事実の追求という意味で耐えうるかは疑問です。
前川前事務次官の会見で新たな事実は見当たらず 明らかにされたこととは[加計学園] - 桜咲き誇れ
このように、問題に関して前川氏の発言の有用性が疑問視される以上、新しい事実が出てくるかどうかということが問題になるというわけです。
しかし、前回の記者会見でももう新しい事実はないんだ、ということを語っておられるわけです。
この参考人招致で何か明らかになるんだろうか、という意味で必要なのかなと思ったわけです。
もちろんこのことが国民の抱える疑問の解消ということに一歩でもつながるのなら有用なのでしょうが。
注目すべきは、野党がどのように質問するかということでしょうね。
今までの国会での野党の追求手腕はいまいち核心に迫れていないと言わざるをえない感じでした。
今回、自分たちのカードとなり得る新しい、そして有用な証言を引き出せるかどうか、野党の手腕にも注目が集まります。
注目するべきポイント
ということで、今回の前川氏の参考人招致で、野党が新しい事実をだすか、野党からの鋭い質問が飛び出るかがなければ、結局水掛け論で、事態が進展するということはないのではないかと思われます。
注目されるのは、今まで公で発言をされていなかった、加戸知事、原委員がどういった発言をされるかということでしょう。
特にワーキンググループの原委員がどういった発言をされるかは注目されるところでしょう。
実際にその選定過程に携わった中で、官邸からの圧力が実在したかどうか、そして、今まで出ている事実に関する考察に関しても、何を語られるか非常に注目すべきポイントでしょう。
もちろん最終的には決定を下すのは総理大臣ですが、実質的に決定するのはワーキンググループなわけですからね。
規制緩和をするという大筋を決めるのが総理大臣だとしても、実際に、地域決定などの細かなことを決めるのはワーキンググループです。
この意味で、総理大臣が決定に関われないシステムになっていると発言されてらしたわけですね。
総理が「2校3校とつくっていく」と言ったから、総理が決定に関われないという言っていたというのが嘘だというのは明らかにミスリードであります。
終わりに
ということで、前川さんの発言よりも、加戸前知事や原委員の発言が個人的には注目されます。
私個人としては、野党が疑惑を追求という意味では、前川氏ではなく、前川氏に伝えた直接交渉にかかわった役人を招致するべきではないかと思います。
前川氏から聞いても憶測の域を出ないわけですからね。
まぁ現実には、その立場上話しにくいことなどがあるのでしょうが。
まぁなにはともあれ月曜日の参考人招致はどういったことになるのかは注目ですね。
みなさんもぜひ国会中継を見てみてはいかがでしょうか。
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【追記】
閉会中審査後の記事はこちら