来週9月24日日曜日は、大阪の堺市長選挙です。
ここで、現職の候補に自民党・民進党・社民党・日本のこころ・共産党が推薦し、その候補に対して、維新の新人が挑むといった図式になっています。(公明は自主投票)
維新VS自共民という、凄まじい図式になっています。
私は、関西の出身ということもあり、大阪の選挙には非常に注目がある上、今回テーマのご希望を頂いたということもあり、堺市長選挙について見ていきたいと思います。
今回は両候補の主張についてとどうこう、どちらを応援ということについては置いて、大阪の特殊な政治状況について見たいきたいと思います。
堺市のみなさんはもちろん、大阪の政治状況を知らないみなさんの参考になれば幸いです。
(産経新聞*1
両候補のプロフィール
ここで、簡単に両候補について軽く触れておきたいと思います。
現職・竹山修身
現職の竹山修身氏は、2009年の堺市長選挙に橋下徹氏の全面支持を受けて立候補し、勝利して市長に就任しました。
しかし、その後橋下徹・維新が大阪都構想を全面に打ち出すうえで、理念には賛成するものの、堺市の統廃合について反対するという姿勢を見せ、維新と敵対する姿勢を明らかにしました。
そういった状況で、2013年に維新と敵対する形で、堺市長選挙に再選を目指し、自民・民主・共産・社民の支援を受けて立候補しました。
そして、維新が擁立した西林候補に6万票の大差をつけて勝利しました。
関西に在住の方以外にはピンとこないかもしれませんが、当時の大阪での維新の強さは圧倒的で、非維新の竹山市長が大差で勝利したことは衝撃的でもありました。
現に、大阪の首長選挙で、維新が初めて敗北した選挙でもありました。
新人・永藤英機
新人の永藤英機氏は、平成23年の府議選で初当選し、その後2期目も当選した府議会議員です。
維新の会が公認しています。
維新VS非維新
そして、この市長選挙は上述の通り、維新VS維新以外といった形になっています。
自民・民進・共産が同じ候補を応援することで一致していることに、関西の方でない方は驚かれるかもしれません。
野合の批判は避けられないでしょう。
しかし、野合の批判を覚悟してでも、維新の候補を倒すという共通の目標で動いているということになります。
この光景は、大阪では珍しいものではなく、維新が勢力を拡大し、都構想を現実的に論じ始めたあたりから、このような光景が見られ始めました。
そして、都構想の住民投票でも、維新VS維新以外といった形になったのです。
反大阪都構想のみ
そして、彼らがここまで維新を倒したい目的は、大阪都構想に対する反対で一致していることに他なりません。
今回の堺市長選挙でも、大阪都構想に反対ということを、訴えています。
ただし、自民と民進はもちろん、自民と共産はまさに水と油、全く政策が違います。
国政ほどではないにしても、地方行政に関する考え方も、大きく違います。
しかしながら、都構想・維新を倒すために一緒に戦うわけです。
建設的な政策議論は行えない
こうなると、必然的に都構想に対する反対しか選挙では訴えられなくなります。
他の政策を訴えると、支援してもらっている両党間での軋轢が生じますから。
これは、私が常日頃から申し上げている、民進党が共産党と共闘するばかりに、憲法論議や現実的な安全保障政策に打ち込めず、反安倍しか訴えられない状況と酷似しています。
もちろん、こういった状況では、堺の市政をどうしようといった建設的な議論が行われるはずもなく、反維新・反都構想という旗印のみで一致することになっています。
堺の市政をどうするかということが語られない、このような理念なき共闘という、選挙態勢が望ましくないことは明らかです。
自民本部は消極的とはいえ、、
そして、もっとも批判したいのは自民党です。
民進党の共産党との共闘を批判しておきながら、大阪では共産党と共闘。
まさにブーメランといった感じです。
ただし、自民党の本部は、大阪での共産党との共闘に対して、非常に消極的であることは間違いありません。
むしろ、安倍総理大臣や菅官房長官は、大阪都構想を応援するぐらいの考えの持ち主です。
さらには、自民党の本部は、共産党との共闘に反対していると、菅官房長官はテレビ番組に出演した際に明言しておられました。
このように、自民党本部と自民党大阪府連で大きく考えが違うのは間違いありません。
しかしながら、最終的には、本部でGoサインを出しているわけですから、自民党の姿勢に疑問符をつけざるをえないのは間違いありません。
なにより、自民党大阪府連の理念を捨てたなりふり構わない行動には、自民党支持者からも忌避感が生まれており、自民支持の票が半分以上流れてるのも事実です。
選挙の面でも効果的なのかは疑問視せざるをえません。
公明党のように自主投票にしたほうがましなぐらいでしょう。
堺の事を考えて投票に
このように、全国的にみれば、異常な選挙状況の中で、適正な判断を下すのは難しいでしょう。
竹山陣営は、支援の分裂を恐れてか、都構想反対を旗印にしているようですし。
もちろん、都構想に賛成・反対というのも大きな争点の一つでしょうし、それを基準に投票を決定してもいいと思います。
しかしながら、ほとんどの一般の方は、堺の市政をどうしてくれるかこそが重要でしょう。
そのような状況の中で、このような選挙戦術というのは非常に残念なことでもあります。
投票日は、都構想はもちろんですが、その一点だけに注視することなく、堺市政をどのように良くしていくのかというビジョンを強く持っているか、そしてそれがみなさまの思いと同じか、実行力は、といった基準で選ぶことも重要でしょう。
両候補の政策パンフレットを置いておきますから、あと一週間の判断の基準にしてみてください。
マニフェスト|堺市長選特設ホームページ2017|大阪維新の会
終わりに
ここまで、堺市長選挙の特殊な状況について見てきました。
個人的には、このような選挙戦術は評価できるものではありません。
政策論争ができないなどの弊害が現実に出てしまっています。
民進党そして特に自民党大阪府連には改めて意義を考えていただきたく思います。
そして、投票されるみなさまは、現職に投票される方も、新人に投票される方も、大きな風に目を眩まされ、細かな重要な政策を見失うことがないように、投票先を決めることが重要であることを申し添えます。