昨日、一昨日と閉会中審査が行われましたね。
野党は審議を通して、疑惑が深まったと述べ、政府を攻撃しています。
そして閉会中審査終了直後に、民進党の両院議員懇談会が行われ、先の都議選についてなどなど、民進党で話し合いが行われました。
責任を取って野田幹事長が辞意を表明されました。
これを受けてもおさまらずに、民進党内からは、代表辞任を求めるなど紛糾する声が聞こえてきます。
相変わらずだなーという印象を国民に与えるような行動を行っているわけです。
そこで、今回は民進党の内紛、今後どうしていけばいいのかなどについて見ていきたいと思います。
焦りをうむ政党支持率
なによりこんな具合で内紛のごとく執行部を引きずり下ろしたり、分党の動きが出てくる原因は、民進党の支持率にあることはまちがいないでしょう。
通常内閣支持率が下がれば、その批判の先頭に立つ野党第一党の支持率は上がっていくものです。
2009年も麻生内閣をせめて、民主党の支持率が上がっていったものでした。
しかし、今回は内閣支持率がいくら下がれど、民進党の支持率は全く上がらない。
上がらないどころか、毎月毎月下がっていく始末。
さらには、それが結果として、都議選で民進党が選択肢にはなりえないことが顕在化してしまったわけです。
民進党の内部で執行部の責任を問おうとするのはわからないではありません。
執行部の責任!?
しかし一つ問いたいのですが、今回の支持率の低迷・都議選の敗北が執行部の責任なんでしょうか。
はっきり言って、都議選の敗北は、執行部云々の話ではないと私は思います。
執行部がもっと努力してれば勝ったか?否でしょう。
まぁ確かに蓮舫総理というビジョンがなかなか国民には見えていないということは、低い支持率原因の一つかもしれません。
しかし、そもそも民進党内部は蓮舫総理を誕生させようと本気で思っているのでしょうか?
私には疑問です。
このように、今まで蓮舫代表を全力で支えてこなかったのにもかかわらず、民進党が低迷しているのは執行部の責任であるかのごとく攻め立てる人たちの説得力ははっきり言って皆無に近いです。
挙げ句の果てには、二重国籍問題が民進党を低迷させているんだ!と蓮舫代表を批判する議員も出る始末。
二重国籍問題が解決すれば、支持率が上がると本気で思っているんでしょうか。
ずれてるなーと思わざるをえませんでした。
決定しても同じ方向を向けない体質
民進党では、蓮舫代表が代表選挙で当選した直後から、蓮舫代表に対する不満、野党共闘路線を進めることに対する不満があったわけです。
この民主党以来続く、政党政治を放棄する、党の体質にこそ問題があるようにも思えます。
民主党時代も代表選挙で増税を掲げて野田佳彦氏が勝利した翌日からそれに反対する勢力がごちゃごちゃ言っていたわけです。
民主党・民進党では正式な形で執行部を選択してもその決定を認めないという体質が見え隠れしているのではないでしょう。
よく対比されますが、自民党では決定まではいくら意見がバラバラでも、党内の手続きに則って決定したらそれに向かって党員が全員同じ方向を向くわけです。
良し悪しは別としてこれこそが政党政治なのではないでしょうか。
今回も両院議員懇談会で「バラバラで何が悪い。民進党には多様性がある」という声が出たそうです。
もちろん多様性があり、それぞれの意見があるのは大いに結構でしょう。
しかし、民主党以来民進党では、決定してもその決定に反対する勢力が必ずいるという文化が、国民からの党としての体を成しておらず、バラバラだという評価を受けてきたのではないでしょうか。
ということで、、代表選挙を経て決定したわけですから、それにうじうじ文句を言い、代表を支えようという姿勢も皆目示さず、党が窮地に陥ったら党執行部を引きずり降ろそうとする。
蓮舫氏を総理にしようとする民進党の党一致の気概も感じられない。
まさに民主党・民進党の悪しき文化とも言えるのではないでしょうか。
多様性では括り切れていない
そもそも論で言えば、民進党は寄せ集め集団で、考えの幅が大きすぎるのも大きな要因でしょう。
反政府という意味で一致しているのみとなってしまっています。
主要なテーマについて、これといった政策を持つわけでなく、政府が提示する政策に対して、その都度その都度、反対するということに終始してしまっています。
憲法、国防、経済などの政治を行っていく上での主要なテーマで真逆の思想を持つ人が混在しているわけです。
だからこそ、一度決定したものに対しても、それは我慢ならないという声が上がってくる一因でしょう。
野党共闘は許せんという人と、憲法改正は許せんなどなど、考えに大幅に相違がある人たちが混在してしまっています。
多様性という枠組みで納まりきっているのかも、またまた疑問です。
政党はロングスパンで
それでも一緒にやっていくということならば、政党としての大きな目的を持つべきでしょう。
少なくとも、憲法に関する考え、安全保障に対する考え、経済問題に関して十年スパンで政策を練り直していき、国民の信頼を取り戻せる日を待つしかないでしょう。
はっきり言って、前回の民主党政権に対する国民のトラウマは尋常ではないものがあると思われます。
4・5年で何とかなるものではまずありません。
十年・二十年は地道に努力を積み重ね、前回の政権にいたような人たちが時間の経過でいなくなった頃に、可能性は出てくるのではないでしょうか。
そのためにも、民進党で再び政権奪還を目指すんだということであれば、長期的な視野を持って政策を練り直す努力は不可欠です。
にもかかわらず、今の民進党がやっていることは、政策を捨てて野党共闘という目先の議席に飛びつく行為に他なりません。
たしかに短期的に考えれば、共産党の票が入ることで議席が得られる議員もいるわけで議席数の底上げにはなるでしょう。
しかし、政権をどうこうということからは外れてしまっています。
しかも、一般的には共産党主導に見られてしまっていることも確かでしょう。
少なくとも、現在の日本国民の中で、共産党を政権の座につけようと思う人はごく少数に限られることでしょう。
現在の日本では、右も左もない穏健保守、いわば中道がほとんどを占めているわけですからね。
その共産党と政策に対する一致もなく、「反安倍」の一点で協力しているわけです。
これでは、民進党へのトラウマも相まって、政権の座につけようという国民はいないでしょう。
つまり、民進党が真の意味で長期スパンでの政権奪還を目指すのであれば、野党共闘はとってはならない選択肢であることは明らかでしょう。
結果として、民進党の党勢はいまいちで、共産党がどんどん力を増していっているわけですしね。
短期的な議席増は見込まれても、万年野党になってしまうことは避けられません。
新党構想
そういう意味でも、野党共闘をやっている以上一定数の議席数は確保できても、過半数を占める議席を獲得し得る未来はなかなか見えません。
そういった状況で都民ファーストは都議選で圧勝したわけです。
これは小池都知事も自民党が右に行って、民進党が左に行って真ん中がぽっかり空いていた。そこをとったのよ。という趣旨のことをおっしゃっていました。
都議選でそういったイデオロギーの問題が問われたかは疑問ですが、こういう中道な政党を標榜してということも要因の一つでしょう。
こういった中で、民進党内の保守寄りの議員としては、こういった中道の政党に飛びつきたいという気持ちは十分にわかります。
現在の民進党は劣化共産党のごとくで、憲法改正などの政策論は腫れもののように扱われ現実的な政策議論はなかなか難しいでしょうからね。
穏健保守、保守中道といった同じような方向を目指していける小池新党は非常に魅力的に映ることでしょう。
とはいえ、野党共闘は民進党の正規の手続きで選んだ代表が進める方針なわけです。政党政治を続ける以上この足を引っ張るのはいかがかと思います。
こういった状況の中で、野党共闘を強める民進党に嫌気がさして執行部の足を引っ張るぐらいならば、さっさと新党を構成して新しい勢力を作ったほうがいいと思います。
小池新党は、保守中道の政党として、数多くの国民が望む、自民党の代替になりうる保守政党になれる可能性がありますからね。
私は都民ファーストを評価しませんが、都民の選択肢となりえたのもまた事実です。
まさに選択肢の登場という意味では非常に大きな意味を持つのでないでしょうか。
そして民進党のガバナンスという意味でも、ごちゃごちゃ言う議員はすっきり離党していただいて、民進党は野党共闘を通じて、共産党のようなポジションで活動する「共産主義ではない」党としてやっていけばいいんではないでしょうか。
それが党の運命にとっていいかどうかは別として。
終わりに
ということで、民進党低迷にはまずもって民進党のガバナンスに問題があるということ、それからそもそも野党共闘はどうなのか?ということ、そして野党共闘を続けるというのならば、潔く離党するものは離党したほうがいいということを述べてきました。
少なくとも、蓮舫代表は正式な手続きで代表になりましたし、岡田代表路線を継続するであろうことはわかっていた上で代表に選出されたわけです。
その上で文句を言う人たちは、今回執行部に文句を言う責任をあるかは甚だ疑問です。
そして野党共闘が、民進党が再び政権に返り咲くという意味でプラスに働いているかもかなり疑問です。
長期スパンを捨てて、短期的な議席を取りに行った民進党が今後政権交代を担いうる政党支持率まで回復するとは到底想像しにくいです。
そして、野党共闘を取らない、穏健保守、保守中道としての志を同じにする、自民党以外の選択肢としての新党の誕生。
はっきり言って、保守寄りの議員からすれば共産党との共闘は耐え難いというのもわかります。
しかし党で決定したことでそこに文句を言うのも筋ちがいでしょう。
となれば、文句をいうのではなく、離党していわゆる小池新党系の新党を結成して、国政に出ることで、保守系の他の選択肢を求める国民からすれば選択肢となりうる可能性はあるのではないでしょうか。
残念ながら、現在の選挙では、その候補者ではなく、その政党がどこを目指しているかが重要であることは、元民進党の議員が都民ファーストでほとんど当選したことからも明らかでしょう。
政権を担いうる政党となるのか、維新のような小さな政党で終わるのかは知りませんが。
ともかく、民進党が野党共闘で長期的な政策の構想を捨てて、短期的な共闘を目指しているのにもかかわらず、執行部に文句を言う人たちはさっさと離党することが、民進党のガバナンスの意味でも正しいのではないでしょうか。
野党共闘をやっている以上政権を担えないということに関してはこちらの記事に詳しく書いてますので、よろしければ合わせてご覧ください。