北朝鮮で、マグニチュード6.1と推定される地震波が観測され、日本政府は、これを北朝鮮による核実験であると断定しました。
北朝鮮による核実験は二年連続となり、これは非常に異例の状況であり、地域の緊張を高める行動となっています。
そこで今回の核実験の情報、過去の北朝鮮の核実験の情報などについてみていきたいと思います。
取り急ぎのまとめですので、情報が追加され次第追記いたします。
今回の核実験の情報
菅官房長官は、今回の地震波の観測を受けて、記者会見を行い、以下のように状況を説明しました。*1
本日12時31分ごろ、気象庁が北朝鮮付近を震源とする、自然地震ではない可能性のある地震波を観測した。本件地震は、過去の事例などを踏まえると、北朝鮮による核実験の実施に伴い、発生した可能性があると考えている。
気象庁によると、当該地震は、発生時刻は平成29年9月3日12時29分57秒、地震の震源は、北緯41・3度、東経129・1度、深さ0キロメートル。地震の規模はマグニチュード6・1とされている。本事案を受け、政府としては官邸対策室において情報を集約するとともに、関係省庁の局長等を官邸に緊急(参集)させた。
ということで、12時29分ごろ、北朝鮮付近を震源として、自然地震ではない可能性のある地震波を観測したとのことです。
マグニチュード6.1とされています。
さらに、その後、NSCを終えた河野外務大臣が、先の地震波について核実験であると断定しました。
日本への影響
この核実験を受けて、小野寺防衛大臣は大気の放射性物質の確認のために、T4練習機を発射させ、大気を収集しています。
過去の実験や、核実験一般を考えても、大気中に放射線の影響が出ることは考えにくく、官房長官は「冷静に通常通りに過ごされるように」と呼びかけています。
過去の核実験
過去の北朝鮮の核実験を見ておきたいと思います。
北朝鮮は今までに5回の核実験を行っており、今回で6回めとなります。
今までの核実験の規模などは以下の通りです。
日時 | マグニチュード | 爆発規模 |
2006年10月 | 3.7 | 1キロトン以下 |
2009年5月 | 4.7 | 数キロトン |
2013年2月 | 5.1 | 6〜7キロトン |
2016年1月 | 4.3 | 6キロトン |
2016年9月 | 5.3 | 10キロトン |
爆発の規模の着々と拡大してきており、今回のマグニチュード(6.1)から考えれば、過去最大規模の核実験となり、爆発規模も非常に驚異的なものであることが予測されます。
韓国気象庁は前回の核実験の9.8倍の威力であるとの観測を、日本の気象庁は最低でも10倍は超えるとの観測を示しています。*2*3
過去の例からもわかる通り、この2、3年間で核実験の回数を飛躍的に伸ばしています。
米シンクタンクによれば、北朝鮮の実験の規模から考えるに、今回の核実験で小型化・弾頭搭載に成功する可能性もあるとの見方も出ていたことから、北朝鮮の驚異がさらに増大する結果となった可能性もあります。
北朝鮮の対応
北朝鮮はこの核実験を受けて、15時30分より重大発表を行うと予告しました。
行われ次第追記いたします。
北朝鮮は特別重大放送を行い、ICBM用水爆実験を成功させたとの発表をしました。
さらに、威力を調整できると主張するなど、完全にコントロールできる水爆を完成させた旨の主張でした。
これに関して、専門家からも今回の威力を考えるに水爆の実験であったとの主張は一定の信頼性があるとの見方もあります。
一方で、ICBMに搭載して、発射できる、すなわちアメリカを攻撃できる水爆の小型弾頭化に成功したかどうかは不明です。
中国への影響
今回はBRICSの首脳会議の最中であり、中国が国際社会で会議を行っている最中での核実験ということになり、中国の顔に泥を塗る結果になりました。
北朝鮮はこれまでも、中国主催のG20サミットの最中など、中国の面子をつぶすタイミングでの発射を繰り返しています。
これは、国連決議などに中国が賛成していることを受けての反発とも見られています。
中国はこれまでも、ミサイルはさておいても、核実験に関しては、断固許さないという姿勢を見せており、今後中国がどのような姿勢を見せるかが注目されます。
さらに、中国は10月に五年に一度の共産党の党大会を控えているという非常に繊細な時期でもあり、習近平国家主席の外交上の失点にもなりうるという意味でも、北朝鮮の行動に対して、どのような行動を見せるかも注目されます。
中国の反応
中国外務省は、 北朝鮮による6回目の核実験に対し、「国際社会に広がる反対を顧みなかった」として「断固たる反対と強烈な非難」を表明しました。*4
米国への影響
アメリカは以前よりレッドラインとして、ICBMの発射と核実験というワシントンへの甚大な被害を与える能力を北朝鮮が得ることを許さないという見方があり、それを受けて、4月時点で北朝鮮が核実験を中止するなどの抑止力としての一定の効果は見えていました。
しかしながら、ICBMの発射を断行してもアメリカが効果的な対応を取れなかったことから、その後もICBMの発射実験を連続して行い、今回の核実験の断行という結果にもなりました。
とはいえ、もっとも抑止力を与えるであろう、軍事オプションをとることは、韓国・日本に与える被害の甚大さからも二の足を踏んでいるという状況が続いています。
今回の核実験を受けて、アメリカがどういった対応をとるのかにも当然注目が集まります。
最後に
ということで、今夏の情報、そして過去の実験などについて見てきました。
見て貰えばわかる通り、過去の実験とは日にならない威力を北朝鮮は手に入れつつあります。
ICBMの実験とともに、北朝鮮の脅威はますます増大していることは疑いようのない事実でしょう。
このような局面において、圧力をかけ、北朝鮮を対話の場にひきづり出す方向を、日米は目指しています。
しかし、これらの方向に限界があることも厳然たる事実であり、中国・ロシアをはじめとして、今回の核実験を受けて、国際的にどのような圧力を高めていけるかが重要でしょう。
各国の対応が注目されます。
情報が追加され次第追記します。