13日、劉暁波が死去されました。
まずもって、心から哀悼の誠を捧げます。
そこで、今回は劉暁波が何をした人物なのか知らない人もいるかとは思います。そして、中国の対応もあまり知られていないかもしれません。
そこで、今回はそういった、点について触れていきたいとおもあいます。
劉暁波
劉暁波氏は、2008年に共産党の一党独裁を批判し、民主化を求める「08憲章」の起草で中心的役割を果たしました。
これは、国連の「世界人権宣言」の60周年の記念に出されたもので、中国の一党独裁を批判し、三権分立、選挙の実施、集会結社の自由、公務員の政治的中立などの、全面的な会見を主張したものです。
しかしながら、当然中国でこういった、政権を批判し、真実を語ることは許されません。
それが原因となり、「国家政権転覆扇動罪」で逮捕され、2010年に懲役十一年の実刑判決を受け、服役しました。
劉氏は、国外に逃れる選択肢もありましたが、民主、人権が最も必要とされる中国に身を置き続け、言論弾圧に「平和的手段」を用いて真っ向から立ち向かってきたわけです。
その行動は、中国民主化を求める劉氏の同志たちに計り知れない勇気を与えたことでしょう。
こういったことから、中国民主化の象徴、精神的支柱とされてきました。
ノーベル平和賞受賞
その後、2010年10月に、獄中でノーベル平和賞の受賞が決定して、国際的に会報の機運が高まりましたが、中国当局は拒否し続けてきました。
代読された、ノーベル授賞式での「私の最後の陳述」というメッセージは、
「私に敵はいない、憎しみもない。」
として、弾圧者を責めるのではなく、ただひたすらに、中国での自由、民主化を祈念するものでした。
病気発覚後
そんななか、獄中生活を続ける劉氏が、末期の肝臓癌であることが今年5月に発表され、病院に移送されました。
中国当局は、異例とも言える、劉氏の病状や、映像などの積極的配信を行いました。
がんの早期発見ができず、末期に至るまで適切な治療を行わなかった処遇は劉氏の対する迫害なのではという海外からの推測を巡り、国内外からの批判を封じるための作戦だったわけです。
しかしながら、その露骨な情報操作は、内外の不信感を広める結果となっていました。
その後、米・独の医師診察を認めましたが、本人、そして、関係国からも求められていた、海外への移送は叶うことなく、死去されました。
死去を受けて、各国から中国に非難の声
EUのトゥスク大統領とユンケル欧州委員長は共同声明で中国政府の対応を非難し、「中国におけるもっとも卓越した人権の擁護者に一人だった」と劉暁波氏を讃え、言論弾圧により獄中にいるすべての民主活動家を解放すべきだと中国政府に要求しました。
トランプ大統領も劉暁波を「民主主義の自由の追求のために人生を捧げて勇気ある活動家」と賞賛しました。
ドイツのメルケル首相も「悲しんでいる、言論と自由のために戦った勇敢な戦士だった」と称えました。
各国から数々の、様々な非難の声が中国に向けられています。
中国に与える影響
こういった国際社会の声は、習近平には大きな脅威となることでしょう。
特に秋に2期目を決める党大会が迫る中で、国際社会からの強い非難の声は、習近平の外交上のマイナスポイントとなることはまちがいなく、中国当局としても、対応を迫られることになるでしょう。
そんななかあで、劉暁波の妻の処遇をどうするかについても国内外からの注目が集まることになるでしょう。
かつて、胡耀邦の死去によって天安門事件が起こったわけです。
劉氏の死も国内外に強い影響を与え、死してなお、中国の民主化求めるものたちに強い勇気を与え続けることでしょう。
締め付けを強める中国
こういった強い影響力を考えても、今後中国が民主活動を強く制限していくことはまちがいないでしょう。
天安門事件や劉暁波というワードは中国国内ではほとんど検索することができない状況となっています。
こういった厳しい情報統制によって劉氏のことを知らない、中国国民もいるのだと言います。
そして、中国当局は、早速劉暁波への追悼をネット上から削除し始めているようです。
「ろうそく」の絵文字や、英語の「安らかに眠れ」を略した「RIP」といったキーワードなども削除対象となっているといいます。
さらに、劉氏の支援者の軟禁も進めているようです。
中国、劉氏支援者らを一斉軟禁 対応批判の米国に抗議 - 共同通信 47NEWS
今後も、民主化運動を恐れて、こういった非常に強い言論統制が強まっていくことになるでしょう。
終わりに
ということで、劉暁波がどういった人物であったか、そして、中国の激しい統制、各国からの激しい非難について見てきました。
このような、批判を口にすれば、拘束される中国において、あえて中国に残り真正面から、民主化運動を続けてこられた劉氏に改めて、敬意を表し、哀悼の念を表します。
そして、国際社会から強い非難を受けても、なお言論統制を強める中国に対して、今後さらなる非難が集まることになるでしょう。
そういった中で、劉氏の遺体の扱い、劉氏の妻の拘束状況などについて、中国当局がどういった対応を取るのか、今後も注目が集まります。
そして、すぐに言論統制だと口にする人たちがいますが、日本では、政府を非難しようが、「安倍・菅を監獄へ」というプラカードを掲げようが、なんともなりません。
安易に、言論弾圧だ、自由が奪われるなどということは、中国などで本当に言論弾圧にあっているものたちに対する冒涜にすら感じます。
中国が劉氏の望むような、自由な国に生まれ変わる日が来ることを願っておわります。