最終更新日8月17日
毎日新聞で非常に驚くべき報道が。
「豊洲移転・築地再開発」の方針について、財源や運営費などを検討した記録が残っていないことが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。
ということで、都議選前に発表された小池都知事の「豊洲移転・築地再開発」の決定プロセスが残っていないことが明らかになったということです。
これが本当であれば、情報公開を訴えてきた小池都知事の方針は口だけではないかという批判が当然あり得るでしょう。
そこで今回は、報道の詳細、その問題点などについて詳しく見ていきたいと思います。
密室で決められた「豊洲移転・築地再開発」
報道によると、先般の「豊洲移転・築地再開発」という小池都知事の提案の決定プロセスに関する文書の開示を請求したところ、東京都によって却下されました。
この市場移転に関する小池都知事の決定は、「市場のあり方戦略本部」が提案した具体的金額の試算がある計画と比べて、何らの具体性もなく、市場関係者からの猛反発もあり、問題となってきました。
そしてその決定が、公開されている戦略本部の方針を却下して、それと並行して行われた記録に残らない協議を経て決定されたということになります。
まさに密室で数人で数千億かかるとのプロジェクトの決定が下されたということになります。
情報公開を一丁目一番地に掲げていた小池都知事
この密室で決めていたこと自体が問題ではないかという指摘と同時に、情報公開を訴える小池都知事の表向きの方針とは真逆のことを行っているということになります。
小池都知事は都知事選や、都議選を通じて、一部の有力な自民党議員で意思決定が行われている都議会を「ブラックボックス」と批判し、情報を開示しクリーンな意思決定が行われるというところを最大のアピールポイントとして訴えてきて勝利しました。
にもかかわらず、小池都知事本人が「豊洲移転・築地再開発」という意思決定、それも数千億の都民の血税が投入されるプロジェクトの意思決定をまさに批判してきた「ブラックボックス」で行ったということは、都民からの不信を生むことはまちがいないでしょう。
さらには、小池都知事の計画は、具体的な金銭面での資産はゼロで、さらに築地に5年後に帰るという計画には、豊洲移転賛成派・反対派両方から批判されるずさんなものとなっていました。
「ブラックボックス」で決めて、その決定が現実的な都の戦略本部の計画よりも劣るものであれば、「都民ファースト」ではなく、「選挙ファースト」「小池ファースト」の謗りを免れません。
迷走する市場問題
そして、これまでの意思決定に関して様々な問題が山積してきています。
小池都知事の豊洲も再整備という方針に伴って、豊洲新市場の目玉とも言える観光施設千客万来施設を経営する会社が撤退せざるをえなくなるとして、その問題点が表面化してきたことは記憶に新しいでしょう。
さらに昨日プロジェクトチームの小島座長に関するこのような報道が出ました。
小島敏郎座長は「豊洲市場用地は法律的、科学的には安全であり、被害が生じているわけでもない。
安全宣言というも奇妙だ」として、知事の安全宣言は豊洲市場に対する不安の払拭につながるわけではなく、必要ないという認識を示しました。
ということで、都知事の安全宣言は必要ないという見解を小島座長が示したとのことです。
しかしながら、現在まで小島座長率いるプロジェクトチームは豊洲の問題を指摘し続けてきており、そこで出される案も豊洲を売払い、築地を再整備するべきだなどの、豊洲の問題を指摘し、築地に残るという傾向がありました。
識者からも庁内組織の戦略本部と比べて、非常に築地に偏重した傾向があるということも指摘されてきました。
その小島座長が、そもそも豊洲は安全なんだから今更安全宣言なんて必要ないんだなどというのは、まさにちゃぶ台をひっくり返すかのごとく発言で、市場関係者をはじめとして波紋が広がっています。
都議選が終わったことで、小池都知事・プロジェクトチームは豊洲への速やかな移動ということでこのようなことを言い出したのかもしれませんが、いままでの混乱は何だったんだという批判は免れません。
なにより、豊洲がそもそも安全だなどというのであれば、昨年8月の小池都知事の移転延期の判断こそ誤りであり、その決断以降今日に至るまで、本来は必要のない費用、五輪のための道路計画の変更、市場関係者に与えた混乱などに対する強い疑問が再燃することとなるでしょう。
終わりに
というように、自民党都連を「ブラックボックス」と批判してきた小池都知事自身が「ブラックボックス」で独自の判断を下していたことが明らかになったことと、混乱する市場移転問題について見てきました。
アリバイ作りのように公開された戦略本部で議論させて、その意見は一切反映させず密室で決定するというのは、小池都知事の情報公開の精神から外れ、その主張は選挙のためでしかないということを印象付けるものとなります。
そして、議員への取材拒否や先般の音喜多議員の番組出演拒否など、情報公開に対する小池都知事都民ファーストの姿勢に疑問が噴出し始めていることは事実でしょう。
音喜多都議の出演が党事務局によってキャンセル 議員の行動を制限する都民ファ 真の「ブラックボックス」【よるバズ】 - 桜咲き誇れ
さらに小島座長の発言で波紋を呼んでいる豊洲市場移転問題についても、移転時期に関して春を望む小池都知事に対して、それは難しいという市場関係者の反発も生まれるなど混乱は収束していません。
そして何より、豊洲問題を迅速に解決しなければ、築地跡地の使用を前提としている五輪の開催すら危ぶまれます。
現在ですでに環状2号線については、地下トンネルの開通は難しいとの見解が示されるなど、五輪に対する悪影響は出てきてしまっています。
「ブラックボックス」による決定で都民や市場関係者に悪影響を与えるのではなく、その主張の通り情報公開の姿勢を見せながら、五輪開催、スムーズな市場移転に向けて全力を尽くしていただくしかありません。