最終更新日8月26日
7月15日のこちらの記事
京都産業大学の会見の内容を紹介したものです。
京都産業大学の会見の内容から、当事者である京産大は「不透明」だと感じていないこと、そして、野党が追及の材料としていた、「広域的に存在しない」という条件が関係なかったことなどを紹介しました。
そんな中、
平成30年4月開学という通常では考えられない条件こそが加計ありきの決定的な証拠なんだが。
というコメントをいただきました。
これは報道ス◯ーション等でも触れられていた、
「いやいや、それなら平成30年4月開学というのが加計ありきじゃないか!」
というものですね。
当事者の京産大はこの決定に関して、納得しており、準備が足りなかったとされているのですが、この説明では納得されない方がいるということです。
そこで、今回は平成30年4月開学決定そしてそれを巡るプロセスについて、公式に公開されている文書をもとに見ておきたいと思います。
平成30年4月
実はこのコメントをいただいた方とツイッターでやりとりをさせていただいたのですが、
獣医学部の新設という案件自体に来年開学させるほどの緊急性などないという意味です。
ということをおっしゃっており、平成30年4月に開学するのは早すぎる、そしてそんなに早くしたのは京産大を外して、加計ありきにするためだということをおっしゃりたいようです。
批判する人は印象のみで、公式に公開されている文書を読んでいないケースが多いので紹介させていただきましょう。
平成30年4月に決定した理由というのは、1月に公表されているパブコメへの回答を見れば、その理由が明記されています。
http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kokkasenryaku_tokku/2017011401.pdf
「国家戦略特区における追加の規制改革事項について」(平成28年11月9日国家戦略特別区域諮問会議決定)の趣旨を踏まえ、新たに取り組むべき分野に対応する獣医師の育成は重要かつ喫緊の課題であり、実際の獣医学部の立ち上げを急ぐ必要があるとされていることから、本告示は平成30年度としたもの。
このように、獣医師要請は喫緊の課題であると、諮問会議が判断して、最速を目指したわけです。
そして最速が平成30年4月となったと明記されているわけです。
そもそも国家戦略特区の精神というものは、スピーディーに規制緩和をしていくと明示されていますし、最速を目指すという意思決定に特段違和感を覚えることはありません。
つまり、「平成30年4月というのは遅すぎる、もっと早く作れたはずじゃあないか!」という批判は成立しても、「平成30年4月というのは早すぎる、もっと遅く作れたじゃないか!」という批判は成立しないわけです。
最速を目指しているわけですからね。
そして、もっと早くなって加計に不利になって京産に有利になるということはないので、加計疑惑という意味では、この開学時期に関する疑義を投げかけるのは非常に筋悪だと言えるでしょう。
加計ありきではなく、新潟の時から
それでも、最速を目指したのは加計のためじゃないかという、あまのじゃくな方のためにもう一点ご紹介しておきましょう。
それはこちらの議事録です。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150203_gijiyoushi_06.pdf
平成27年2月、まだ今治市は申請しておらず、新潟が獣医学部を申請していた時です。
この中で、文科省が、「特区ではなく、全国レベルで検討したい」と語り、何年後になるかわからない、獣医学部の全国展開について語り、時間稼ぎをしているところです。
そこで八田座長が「全国レベルがいますぐ決定されるなら問題ないが、何年も先になるのであれば、新潟は今すぐ決めてしまおう。平成28年はどうだ。」
と文科省に対して厳しい指摘をされています。
ここで示されている通り、加計学園だから最速を目指したのではなく、渋る文科省に対して、最初の一校は最速のスケジュールでやるというのは新潟の時からだったことが、明白に示されています。
この議事録は、獣医師の質に関してなど非常に面白い内容となっていますので、興味がある方は読まれてはいかがでしょうか。
教員確保に動けたのはおかしい
上述の通り、平成30年4月開学というのが、加計ありきではなく、新潟の時から掲げられた最速に基づいたものであることはおわかりいただけたかと思います。
これで、示されたと思うのですが、いやそれでも、加計学園が早くから教員確保に動けたのはおかしいじゃないかという話もあるのでそちらも触れておきます。
報道ステーションの報道によると加計学園は一年半前から教員の確保に動いていたということです。
しかし、時系列に従って見ていけばわかるのですが、加計学園に対するワーキンググループでのヒアリングは6月5日に行われているわけです。
そこで委員から「いいプランである」と評価がされています。
少なくとも「アウト」の評価はくだっていないわけです。
そして同月30日に、文科省が検討を行うように閣議決定されているわけです。
ヒアリングを受けて、「アウト」と言われず、閣議決定をされて、現実的な検討が進んでいき、さらにその時点で今治以外に競合校がいないのであれば、教員の確保に向けて徐々に動き出そうとすることは当然ではないでしょうか。
日本の獣医学部教員は絶対数が少ないと言われているわけですからね。
そしてその後12月に特区認定を受けて、その動きを加速させていくのもごく自然でしょう。
(一部追記・変更しました。)
ボーリング調査してるのがおかしい
次は、ボーリング調査を加計学園があらかじめしているのはおかしいじゃないかという点です。
よくもまぁこんなに疑惑めいたことをいっぱい見つけてくるものだと思いますが。
これに関しても時系列を追えばわかることです。
このボーリング調査は、10月に行われているわけですが、その前月の9月にワーキンググループで、挙証責任を示すのは文科省だと言われ示せずに、文科省はいわば「敗北」しています。
その結果、獣医学部の設置が許可される流れだと判断して、早め早めにボーリング調査をすることが特段おかしいと断ぜられることではないと思います。
いやそれでも、京産大になるかもしれないのに、加計がやるのはおかしいじゃないかというかたもおられるかもしれません。
しかし、その時点では、2校3校という流れだったわけです。
獣医師会の圧力が実るのは1月のことです。
京産大と比較すべきだったという空論
そして、それでも京都産業大学と比較すべきだったんじゃないか、という論を展開される方もおられました。
しかし、仮に比較検討するとしても、申請がなければ比較することはできません。
最速を目指すというのは以前から示されていることで、京産大もそれを承知していたわけですし、その上で、「自分たちの準備が間に合わなかった」と言っているわけです。
そして、何より京産大は加計学園が応募して、獣医学教員を集められる見込みがないからやめると言っているわけです。
つまり京産大は、もとより競合の他大学が存在する時点で、獣医学部を設立できないと判断していたわけです。
これを受けて、八田座長も
「二校目の最有力候補と考えていました。結果的に十分な熟度を伴った提案ではなかったことが判明し、大変残念です」
と、熟度が十分でなかったことを残念がるコメントを出されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/hattazachou_comment.pdf
これらのことからも、熟度の具合、現実性、そして手続き論を含めても、京産大と比較するという論は、現実を見れていないと断ぜざるをえません。
終わりに
ということで、平成30年4月ということが、加計ありきと断ずることは無理があることを示してきました。
一番示したかったのおは一番上の部分で、それ以外は、こじつけに対して説明したという感じです。
一番上を読んで貰えば、加計ありきで開学時期が決定されたという論は、無理があることはわかっていただけるかと思います。
この事件を批判する人たちは、だいたいお友達だから何かおかしいに違いないという論で来られますが、公式の文書を見れば、その論が根拠薄弱であることわかるわけです。
なおこの記事をよんで、反論がある方はバリバリ歓迎しておりますので、ブックマークコメント、twitter、コメント欄、なんでもいいのでご意見くださいませ。
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