稲田防衛大臣の応援演説での発言が話題になっています。
防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いをしたいと、このように思っているところだ。
という発言が物議を醸していますね。
行政は中立でなければならない
今回は防衛大臣である稲田さんがこういった発言をして問題になりましたが、そもそも閣僚がその所管省庁の影響を押し出す形で応援することは許されません。
憲法15条にも定められているように公務員は一部の奉仕者ではなく全体の奉仕者であるからして、その立場を利用して応援することはありえないことです。
現職閣僚が応援するとしても、それは1自民党員、1国会議員として応援するわけであって、自分の所轄省庁がどうだなどということは到底許容できかねることです。
菅官房長官が言うように「政府機関は政治的に中立であって、特定の候補を応援することは考えられない」ということは間違いないことです。
防衛大臣である重さ
そして、自衛隊員は自衛隊法61条によって政治活動を制限されています。
こちらの記事で詳しく取り扱っています。
自衛隊法61条で、選挙権の行使(投票)以外の政党のために政治的行為をすることは許されていません。
この規定では、防衛大臣たる稲田大臣は対象となっていません。
とはいえ、自衛隊を所管するトップたる防衛大臣が、自衛隊員が自民党を応援しているかのような発言を持って、自民候補への投票を呼びかけることは許されることではないでしょう。
上でも述べた通り、そもそも閣僚がその地位を利用して特定の候補への応援を呼びかけるのは、NGですが、防衛大臣は、自衛隊法で自衛隊員がそういった行動を許されていないことを考えても、特にそのことに気をつけるべきであったといえるでしょう。
【誤解を招くなら撤回は当然だと思うが、一番当惑したのは現役の自衛隊員ではないか】
— 佐藤正久 (@SatoMasahisa) 2017年6月27日
自衛隊員は、投票行動や個人的に演説会や後援会への入会等は法的に問題ないが、その地位を利用して特定の候補者への投票行動を部隊や隊員に呼びかけるのはダメだhttps://t.co/AYzr4mYUkC
元自衛隊員の佐藤議員が言うように現役の自衛隊からしても当惑する発言ということはまちがいないでしょう。
発言の影響
そして稲田大臣はこの発言から数時間後この発言について、誤解を招きかねないとして撤回をしました。
しかし撤回したからといってこの発言が許されるのかといえば疑問でしょう。
議員の言葉、特に大臣の発言は重いわけです。
特に稲田大臣は演説の後、取材陣がこのことを聞きにやってきたときに、なんでこんなにいっぱいいるの、詳しくは覚えていないなどと発言をされていました。
特に考えもなく勢いで出た発言なのでしょうが、稲田大臣の激しい猛省を求めたいところです。
今回の発言を受けて、稲田大臣が辞任や、更迭されるといったことはなさそうです。
このタイミングで辞任することは非常に混乱を呼ぶことですし、8月にも行われるという内閣改造までは続けるということになるでしょう。
そして、発言が都議選に与える影響は大きいことでしょう。
野党はこの発言を投票日まで突き続けることになると思われます。
都議選での自民党の劣勢はますます増すことになってしまったことで、政策などではなくこういった周囲の状況に左右されることになるということは非常に残念であります。
終わりに
野党が日頃、発言の言葉尻をとらえて非難するのは、不毛なことであると思います。
しかしながら、今回の稲田防衛大臣は、自衛隊の政治的中立という意味でも問題視されて仕方がない、許されざる発言であることはまちがいないでしょう。
個人的にも稲田大臣の思想や政策論には共通するところが多く、応援している政治家でありましたが、だからこそ今回の発言は非常に残念です。
とはいえ、是々非々で捉えるという意味でも、今回の稲田大臣の発言は許容しがたいものだと思います。
さらに、自民党に対する政策以外での逆風が吹きあられる都議選となってしまっていることも、非常に残念です。
加計学園、豊田議員、そして今回の稲田防衛大臣と都議選と関係のない、国政の領域で自民党への逆風が強まっていることは非常に遺憾というほかないでしょう。
まさにオウンゴールを重ねているような感じです。
非常に厳しい選挙戦となっていることでしょうが、最後まで政策の是非という本質で都議選を戦って欲しいところです。