桜咲き誇れ

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統幕長の憲法に自衛隊ありがたい発言に関する野党の批判は的外れ

最終更新日8月17日 

一自衛官として憲法自衛隊明記はありがたい

 安倍総理が、今月、憲法9条に「自衛隊」の存在を明記する考えを示したことについて、自衛隊制服組のトップ、河野統合幕僚長は、「一自衛官として」と断った上で、歓迎する意向を表明しました。

 「一自衛官として申し上げるなら、自衛隊というものの根拠規定が憲法に明記されることになれば、非常にありがたいなとは思います」(防衛省 河野克俊統合幕僚長)

統合幕僚長は、会見で、安倍総理の憲法9条に自衛隊明記発言への見解を聞かれ、上のように答えました。

一自衛官として個人的な見解を示すと前置きした上での発言であり、ありがたいといっただけで、特に問題はないように思います。

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憲法尊重擁護義務に反している!?

しかしながら、これを、受けて野党は、批判を強めています。

許されない発言だ。公務員は憲法99条によって憲法尊重擁護義務がある。それを真っ向から踏みにじるものだ」と批判した。 

共産党の穀田氏は、憲法99条の憲法擁護義務に反していると言って批判しています。

さらに、日本維新の党の足立さんがツイッターでおっしゃってる通り、共産党や民進党は憲法審査会の幹事懇でも、この発言を批判しています。

 野党は、安倍総理がこれまでも国会で憲法改正に関して発言してきた時、憲法99条違反であるといって批判してきました。

憲法99条の定める憲法尊重擁護義務とは

そもそも憲法99条とはなんなのでしょうか。

第九十九条天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 これが、条文です。つまり、公僕たる公人は、憲法を尊重し擁護しなさい、ということです。

これをもって、憲法99条で現行憲法を尊重擁護する義務があるんだから、現行憲法を改正するなんていう考えを表明するのは、憲法違反だという批判だそうです。

 

しかしながら、この批判は全く当たらない(菅官房長官風)と言えます。

そもそも、憲法の改正を発議できるのは、国会議員のみです。

それにもかかわらず、憲法99条が、憲法改正について論じることを禁じていると解するのであれば、憲法改正を定めた、憲法96条が空文化します。

つまり憲法上の規定として、改正について定められてる以上、憲法99条が憲法改正について論議することを禁じていることを要請するものであるとは到底解釈できません。

 

たしかに、一部では憲法99条によって内閣が憲法を批判し変えようとすることを禁じていることと解釈する人もいます。

しかし、その場合でも、国会議員に憲法改正に関する論議を禁じることが、憲法上の要請ではないことは明白ですし、ましてや発議権のない公務員(自衛官)に要請しているわけでないことは明白です。

自衛隊法で定める政治的行為にも全く当たらない

また、記事では触れられていないのですが、さらに批判される余地を潰しておきたいと思います。一部で、今回の統幕長の発言は、憲法99条違反はもとより、自衛隊法で定める、政治的行為の制限に反するという、批判の声もありました。そもそも、今回の発言が政治発言なのかも、疑問ですが、条文は以下の通りです。

(政治的行為の制限)

第六一条 隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他
の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これ
らの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行
為をしてはならない。
 
 隊員は、公選による公職の候補者となることができない。
 
 隊員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問その他これらと同様
な役割をもつ構成員となることができない。

 

しかしながら、条文を読めば一目瞭然でわかる通り、寄付金の制限や政治的活動を制限したものに過ぎず、今回のような発言を否定するもでは一切ありません。

つまりこの主張も、先程と同様に、まったくあたりません(菅官房長菅風)

公平性を損なうものではない

これまで、憲法上、法律上今回の発言が問題ないことは、おわかりいただけると思いますが、自衛隊のトップは公平である必要があり、このような発言は、許されない、という批判も見受けられます。

しかしながら、今回の発言は、

  • 自発的ではなく、記者からの質問に答える形で
  • 高度な政治問題で、統幕長とした立場から申し上げるのは適当でないと前置きした上で
  • あくまで、一自衛官の個人的見解を示したもの

であるからして、これまたそのような批判は、まったくあたりません(官房ry

しかも、今回は積極的に発言したわけでもなく、さらに改正を要求するものではなく、流れとして、明記されればありがたい、といったまでなのです。

足立議員のツイッターでも書かれていた通り、問題があるとすれば、それを大きく取り上げる、議員の方にあるでしょう。

自衛官の方々の思い

今回の批判は、全く問題ないことがわかっていただけたかと思います。

今回のテーマから少し逸脱するかもしれませんが、自衛官が憲法に自衛隊を明記することを望む背景についてちらっとだけ語ります。(憲法9条改正の必要性など詳しく話はまた別の記事で。)

 

今回の統幕長の発言からわかるように、自衛官も憲法に位置付けられることを望んでいることだと思います。

自分たちが身を粉にして、国民の平和と安全のために働いているのに、憲法上は違憲な存在であると、ずっと言われ続けてきたのです。

いまでは、東日本大震災での、救援活動などを通じて、自衛隊への理解もだいぶ高まってきたと思いますが、一昔前までは、違憲の存在である自衛隊で働いている自衛官は悪といった批判があったことも事実です。

 

さらに、憲法上の制約から、自衛官はその場で最善の行動を取ることができず、これが憲法違反かどうかも考えないといけないと言います。

一瞬を争う戦場でこんなことを強いる憲法で自衛隊を縛り、自衛官を危険にさらしているのです。

 

そして、今回の平和安全法制が成立するまでは、PKO活動中に、その国の人々が襲撃されたとしても、日本に対する攻撃がないと、目の前で攻撃されているのを指をくわえて見ておくことしかできなかったのです。

ある自衛官は、「そうなったら、僕はわざと銃弾のところに行って、相手が自分に向かって攻撃してきたという口実をつけてでも、助けに行きます。」と語っていました。

 

このように、憲法でがんじがらめにすることで、自衛官の尊厳を傷つけたのはもちろん、不必要な制約でむしろ自衛官を危険に貶めてさえいます

このような現状の中で、一自衛官の見解として、自衛隊を憲法に明記してくれたらありがたい、ということは当然のことであり、それを政争の具として利用する野党は、猛省していただきたく思います。

私個人としては、2項も改正すべきだと思いますが、少なくとも自衛隊を憲法上で明記することにより、自衛官の方々が、憲法に違反していると言った疑いをかけられることなく、安心して働けるようにすることは、喫緊の課題です。

まとめ

ちょっと最後は脱線してしまいましたが、以上でとにかく申し上げたかったのは

自衛官の、切実な願いを、自分たちの政治的不作為を、棚に置いて、政争の具として利用するな

ということである。

今回の、統幕長の発言は全く問題がない。

政権批判のために、国のために働いてくださっている、自衛官を利用するな。

 

とまぁ、少し厳しい口調になってしまいましたが、今回の野党の批判は、到底受け入れられません。

今回の意見に関して、これは違うと言う意見でも、賛成の意見でも、コメントいただけると、嬉しいです。よろしくお願いします。最後まで読んでいただきありがとうございました。!